関連者関係を有する企業の関連者間取引に対する税務管理を規定する政令第255/2026/NĐ-CP号

2026年6月30日、政府は、関連者間取引を行う企業に対する税務管理に関する政令第255/2026/NĐ-CP号(以下「政令255号」)を公布し、政令第132/2020/NĐ-CP号及び政令第20/2025/NĐ-CP号に代わるものとしました。同政令は2026年7月1日から施行され、2026年度法人所得税の課税期間から適用されます。

同政令は、現行の移転価格管理の枠組みを基本的に踏襲しつつ、比較対象データの出所、移転価格文書の作成免除、国別報告書(CbCR)、及び税務当局間の情報交換メカニズムに関する新たな規定を追加しています。

主な新規定は以下のとおりです。

4.1 貸借取引を通じた関連者関係の判定規定の追加

  • 政令255号は、規定に基づき関係を有する企業と個人との間の貸借取引を通じた関連者関係の判定に関する規定を追加しました。これは、当該取引価額が課税期間中の取引発生時点における所有者出資額の10%以上に達する場合に適用されます。
  • 従来、政令第132/2020/NĐ-CP号は、金銭の貸付・借入取引を通じた関連者関係のみを規定していました。貸借(資産の貸与・借用)に関する規定の追加は、金融取引のあらゆる形態を包括的に対象とし、取引形態を利用して関連者間取引規制を回避するリスクを抑制することを目的としています。

4.2 比較対象データの出所に関する優先順位の規定

  • 政令255号は、関連者間取引価格を分析・算定するためのデータ出所を選択する際の優先順位を、以下の順序で初めて規定しました。

+ 公開又は公式のデータ出所(証券取引所、商品取引所、国家データベース及びその他の公開情報源)

+ 商用データベース

+ 税務当局のデータベース

  • 本規定は、比較対象データの選択に統一的な基準を設けるとともに、独立性・透明性があり検証可能なデータ出所を優先するものです。

4.3 移転価格文書の作成免除に係る売上高基準の5,000億ドンへの引上げ

  • 政令255号は、移転価格文書の作成免除に関する規定を改正しました。その内容は以下のとおりです。

+ 一部のケースについて、セーフハーバー利益率メカニズムに基づく文書作成免除の売上高基準を、2,000億ドンから5,000億ドン未満に引き上げました。

+ 文書作成免除メカニズムの適用要件を検討する際の「単純な機能を果たす」といった定性的基準を廃止しました。

  • これらの変更は、適用要件を簡素化し、実務上の支障を軽減するとともに、移転価格文書の作成免除の要件を満たす企業により大きな利便性をもたらすものです。

4.4 国別報告書(CbCR)に関する規定の更新

  • 連結売上高基準を、18兆ドンから7億5,000万ユーロ相当額に調整し、直前の会計年度に基づき、ベトナム国家銀行が公表する為替レートで換算して算定します。
  • CbCR提出義務を負うグループに属するベトナム所在の企業は、最終親事業体(UPE)の会計年度終了日から12か月以内に、XML形式で報告書を提出しなければなりません。
  • ベトナムにおいて指定された企業は、遅くともUPEの会計年度の末日までに、様式第01/TB-BCLN号を提出し、グループのCbCR提出主体を通知しなければなりません。本様式は一度のみ提出し、情報に変更が生じた場合にのみ(変更発生日から90日以内に)更新すれば足ります。
  • 同政令はまた、CbCRが税務上の義務又は関連者間取引価格を調整する直接的な根拠とはならないことを確認しています。

4.5 ベトナムにおける国別報告書(CbCR)提出義務の明確化

  • 政令255号は、最終親事業体(UPE)が国外に所在するベトナム所在企業が、ベトナムにおいてCbCRを提出すべき場合又は提出を要しない場合について、より詳細に規定しました。具体的には以下のとおりです。

+ UPE又はグループの指定主体が国外でCbCRを提出済みであり、かつベトナムとの情報交換の要件を満たす場合、ベトナムにおいてCbCRを提出する必要はありません。

+ 情報交換協定が存在するにもかかわらず、外国税務当局がベトナムとのCbCR交換を実施しない場合(システミック・フェイラー)、ベトナムにおいてCbCRを提出しなければなりません。

+ 売上高基準、外貨換算又は売上高の算定方法の相違により、UPEが自国において提出を免除される場合、ベトナムにおいてCbCRを提出する必要はありません。

+ ベトナムにおけるCbCR提出義務は、ベトナムが機密保持、一貫性及びCbCRデータの適切な使用に関する国際基準を満たし、税務当局がその旨を通知した場合にのみ生じます。

  • 政令第132/2020/NĐ-CP号と比較して、新規定はベトナムにおけるCbCR提出義務の適用要件をより明確にするとともに、多国籍企業グループに対し、情報交換メカニズムを注意深く把握し、コンプライアンスを確保するため親会社と連携することを求めています。